




佐渡島内には、風情ある歴史的な町並みが今も残っています。
往時を しのび、1人で散策するもよし、軒先で住民と触れ合い、交流を深めて もよし。旅の楽しみは人それぞれです。昨年8月、国の重要伝統的建造物群
保存地区(重伝建)に選定された佐渡市小木地区の小木町と、
重伝建の〝先輩〟である宿根木を巡り、その魅力を伝えます。
約1㌶の限られた土地に100棟余りの家屋が密集する宿根木は、江戸時代 から明治時代にかけ、回船業で栄えた。 1991年に重伝建に選定されて以来、 町並みの保存が進み、今では全国的な 観光地となった。
全戸の住民でつくる「宿根木を愛する会」会長の濱田嘉夫さん(71)は、「自分たちには見慣れた風景だが、観光客の目 には『まるで映画のセットみたい』と新鮮に映るようだ」と語る。最近では、登場 人物が佐渡出身という設定の漫画 「ゴールデンカムイ」や、宿根木を舞台に した漫画「魔法使いロゼの佐渡ライフ」などの影響もあり「若い観光客も増えている」といい、新たなファン獲得に手応えを感じている。
一方、集落に生家がある幕末の地理 学者、柴田収蔵の資料館開設へ向けた 準備も進む。そこには「埋もれた郷土の 偉人を知ってもらいたい」との思いが 強い。「今後は重伝建となった小木町とも連携していきたい」と濱田さん。小木町や宿根木の海岸、琴浦のダイビングといった周辺のスポットを巡る、新たな 観光ルートを思い描いている。
往時の町並み
今も心ときめく時間旅行



宿根木を愛する会 会長
濱田 嘉夫(はまだ よしお)さん
高校卒業後、就職のため佐渡を離れるがUターン。島内でのサラリーマン生活を経て、宿根木に自宅納屋を改装した「茶房やました」を開業する。カフェ経営の傍ら、コメと柿を栽培している。

おぎ町並み保存推進委員会 委員長
岡崎 拓夫(おかざき たくお)さん
小木町の食料品店「千代富屋」の5代目。講演会の聴講をきっかけに、町並み保存に関心を持つ。2018年の委員会発足に伴い、委員長に就任。先進地の視察や広報紙の発行などで住民の機運を醸成してきた。


佐渡金銀山から産出された金銀の積出港として港が整備され、北前船の寄港地として繁栄した小木町。重伝建選定を目指し、 活動してきた「おぎ町並み保存推進委員会」委員長の岡崎拓夫さん(70)は、「金銀を運 ぶために開かれた港は世界でも例がない」と その独自性をアピールする。
「内の澗(ま)」と呼ばれる湾に沿って扇状に形成された町並みには、明治・大正期の 歴史的建造物が立ち並ぶ。所々、高低差の ある町内を上っては下り、また上ってみる。 1802年の地震では地面が1㍍余りも 隆起したとされ、気分に合わせて町を歩けば、自然の地形を巧みに利用した町づくりが 随所に感じられる。
重伝建選定の動きに合わせ、ここ数年、U・Iターン者らによる飲食店や宿泊施設 のオープンが増えてきた。「選定はゴールではなくスタート。人と触れ合い、何度も行き たくなるような『生きた町』にしたい」と 意気込む岡崎さん。今後、補助金を活用しながら建物の修繕を順次、進めていく。訪れるたび、変化していく町の姿を、その目で 確かめてほしい。




