人形が語り、笑い、泣き、勇ましく薙刀(なぎなた)を振りかざすときもある。古くから受け継がれてきた「説経人形」「のろま人形」「文弥人形」の人形たちは、人情ものや合戦ものを演じ、島民に長く愛されてきた。
説経人形は江戸時代に上方から伝えられたとされる。人形の衣装に手を差し、説経節に合わせて動かす。
のろま人形は説経人形の幕間狂言として広がり、間抜けで正直者の主人公が佐渡弁で笑いを取る。
人形に命が吹き込まれる島―佐渡。
文弥人形は哀調を帯びた文弥節に合わせ、人形の頭が前後左右に動き、細やかな感情を表現する。
金銀山の繁栄によって全国から人が集まり、人形芝居も盛んになった。近代化とともに島外の都市部では廃れたが、島内では各地のグループが継承してきた。
その一つ、真野地区を拠点に文弥人形を守る真明座の座長川野名孝雄さん(90)は言う。「子どものときは、祭りで人形をやると、ごっつおうが食えたからやった。父親やいろんな使い手を見て教わった。厳しかったが、大人になっても続けてこられたのは、好きだったから」
今では珍しい三つの人形芝居は、国の重要無形民俗文化財にもなった。
授業で文弥人形を取り上げる小中学校もある。真野中学校では20年ほど前から総合学習のテーマの一つとなり、川野名さんらが講師を務める。「佐渡から人形をのうせんようにしてもらわんと、親や先輩たちに申し訳ない」。そう思う川野名さんの指導には熱が入る。
本年度は1~3年の計9人が学んだ。3年の3人はともに「兄がやっているのを見て、自分もやろうと思った」と口をそろえる。
自分でなく、人形に演技をさせること」(飯森信三郎さん)を面白いと感じ、「扱うのが難しいからこそ」(高野満暉さん)、あるいは「昔からあるものを身に付けることができる」(瀧川啓太さん)と思えることで、やりがいも感じた。
そして、人形芝居が残るのどかな地域を自慢するように言った。「ここは、ふるさとらしいふるさと」―。
「佐渡島の金山」の世界文化遺産登録に向けて、
日本各地で推進活動や保存活動をされている方々から
応援メッセージをいただきました。
小林 保廣 さん
東京新潟県人会/会長
佐渡は多彩な歴史と伝統・文化を持つ地域として広く知られています。中で最も有名な佐渡金銀山は16世紀半ばから開発が進められて江戸幕府の財政を支えました。最盛期には5万人が暮らし、採掘により切り崩された山、鉱山技術の遺跡等々後世に残すべき宝の山です。1日も早く世界遺産に指定されるよう祈念しています。
関西新潟県人会/会長
小谷野 達雄 さん
重要文化財も多く抱え、文化的景観にも選定されており、国内では観光地として非常に有名な佐渡金山。さらなる文化的保護や世界の方に知って頂くためにと世界遺産に向けての活動が始まり10年以上。活動されてきた方の努力たるや、想像に及びません。関西新潟県人会にも佐渡に縁のある人がおり、また同じ新潟県人としても共に応援し、喜びを分かち合える日を楽しみにしております。
佐渡を世界遺産にする首都圏の会/会長
山本 顕男 さん
佐渡を世界遺産にする首都圏の会は、約7,000人の佐渡出身者を会員にもつ首都圏佐渡連合会などの各種団体や、佐渡を好きな多くの人達によって構成されています。これまで長期にわたり、同志たちと共に首都圏から「佐渡島の金山」の応援を続けて参りました。ユネスコへの正式登録の日を会員一同待ち望んでおります。世界を目指す佐渡島を、みんなで盛り上げていきましょう。
佐渡汽船株式会社/代表取締役社長
尾﨑 弘明 さん
当社は108年間、佐渡島と本土を船で結ぶ海上運送事業を営んでいます。佐渡島民の生活航路として、また観光客やビジネス客の交通手段として、佐渡島と共に歩んで参りました。佐渡の宝「佐渡島の金山」が世界文化遺産に登録されることを信じ、この遺産を後世に残し、伝えていく一助になるよう、公共交通機関として安全・確実・快適なる船旅を提供して参ります。
アルビレックス新潟
早川 史哉 選手
この夏に佐渡へ行き、出会った人・食・景色・文化など、触れたすべての経験が私の心を揺さぶり、 何度でも行きたい街のひとつになりました。そんな佐渡には、先人が切り開いた金山があり、その歴史的価値を守りながら現代に繋いでいる方々がいる。そして、次の世代にしっかりと引き継ぐことが 私たち新潟県人の大事な役割です。「SADOプライド」で佐渡金山を未来へ!
RYUTist
宇野 友恵 さん
佐渡には沢山の素晴らしい景色があります。その歴史は知れば知るほど深く壮大です。佐渡金銀山世界遺産登録推進シンボルソング 「佐渡は世界の宝島〜World Tresure Island SADO〜」はRYUTistが歌わせていただいています。歌やダンスで少しでも「佐渡世界遺産登録」のお力になりたいと思っています。 登録に向けて皆さまと一緒に応援し続けます!